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【4】 奇妙な出来事 -1

  • 2009-07-19 (日) 16:30

 メグリヌの名前は聞いたことがあった。
 内容のあまりの非現実差に僕は、何度もその文章を読み直した。
 しかし書いてあることは同じだ。
 そしてもちろんバッテリもない。
 バッテリのない携帯ゲーム機は動かないはずなのだ。
 だから僕はこの場にて現象の矛盾しているところを考えてみた。
 
 ・・・
 
 あまりに頭が混乱していて、僕はうまくまとめることが出来ない。
 我を取り戻すのだ。
 ひとつでいい、そう、ひとつで良い。
 間違い探しですべてを見つけられるほどに洞察力は高くなかったはずだ。
 まずはひとつ。
 ひとつ、バッテリがないのにゲーム機が動いていること。
 そうだ。その調子だ。
 ひとつ、画面表示にバッテリマークが消えていること。
 ひとつ、バッテリマークの横についているはずの電波マークがないこと。
 電波がないということは、メールも届かない。
 当たり前だ。当たり前すぎる。
 
 当たり前なこと?
 
 理李、君は自殺なんかしたのか?
 君は風の強い日に飛ばされたのか?
 君はもともとサイキッカだったじゃないか。
 君はいつも僕と一緒だったじゃないか。
 君は僕の事をソウジ君なんて呼ばない。
 
 このメールは嘘だらけだ。
 理李からのメールではない。
 ここに理李は居ない。
 
 確かに僕の名前は書いている。しかし、そんなものゲーム機のプロフィールからとってくればいいだけのこと。
 こんなことをしたのはいったい誰だ。何のためにこんな事をしようとする。
 自分のこともサイキッカだと書いているから、メール事故のようなものなのか?それにしてはあまりにも内容が個人に特定されすぎている。殆どは主人公の主観的な物語だが、第三者的視点に僕のことを知らないとかけないことも書いている。
 これはあまりにもおかしなことだ。
 サイキッカとなった理李は、この死んだ後にサイキッカになった誰かに情報をリークしたのか?
 しかし、それにしてはあまりにも情報が少なすぎる。リークしたにしては情報が陳腐だ。
 思考するにしては僕の頭はあまりにぼぅっとしていて夢見心地から抜け出せていない。ゲームのやりすぎか、もしくは人とのコミュニケーションが圧倒的に不足している事が関係しているのか?
 もしくはここに、考える役の理李が横に居たとしたら僕の環境はもう少しよいものだったように思う。
 彼女は僕が悩むと常に助け舟を出してくれた。
 多分そうだ。そんな役回りを僕は彼女に与えてしまっていた。
 だからといって彼女はその補助的な力を出すために、自分から目覚めたとでも言うのだろうか?
 僕のために?
 僕だけのために?

 馬鹿らしい、と僕はその考え方を一蹴した。
 
 冷静になるんだ。冷静になればもう少しまともな結論にたどり着ける筈なんだ。
 ・・・いや、もう少しこの熱に浸かっていよう。
 もしかすると僕がこの次にこんなふうに思考するタイミングは死ぬまでないかもしれない。
 何も考えないままに死ぬぐらいなら、誰かのわなかもしれないこのメールに乗ってみたほうがきっといい。
 僕には生きる意志なんてもうとっくの昔になくなってしまったのだし、これはいい機会なのだ。
 
 僕はもう一度その携帯ゲーム機の画面を覗き込むと、その長い文章の末尾には未だ続きがあるようにスクロールバーが示していた。
 スクロールした先には真っ白な空間があって、僕に十字キーの下を押させ続けた。
 じっくりと進む画面を見ていると、スクロールバーがこれ以上下がないことを示した。

 『アマツチのところに行け』

 画面に写された文字。

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